絵・文 地球・絵手紙ネットグループ
特別講師 水村銑子
特徴と描き方
○ダーマートの正しい名称はダーマートグラフといい、登録商標の鉛筆ですが、油性と水溶性(金色の帯がついたもの)があります。
○持ち方、角度、強弱、濃淡によって立体感や存在感など表情豊かな線書きができます。
○12色ありますが、基本に黒色を用い、応用として、モチーフの雰囲気に合わせて、藍、紫、茶等で描いても楽しいものです。
○用紙は画用紙、洋紙が主ですが画仙紙でも良いでしょう。
○文章はダーマートでは書きません。サインペンが主ですが、絵や紙とマッチする竹ぐし(墨)や筆(墨)など使うのも趣が出ます。
○彩色は紙に応じて塗り方が違いますが、ダーマートの線を生かすようにしましょう。
●木蓮の花
毎年見事に花開く紫色の木蓮の街路樹がある場所を散歩するのが好きです。蕾が必ず「北を向いていることから「コンパスフラワー」とも呼ばれているそうです。青い空に向かって大きな花びらが揺れているのを見るとおおらかな気分になれるから不思議です。
○花びらから描きます。花も枝も角度を変えながら、下の方から強く、徐々に力を抜きながら、上の方へと描き進んでいきます。
○彩色は花びらの内側と外側の色の違いを意識しながら濃淡で塗りましょう。
●和菓子の道明寺
春の訪れを告げる道明寺も、今ではいつでも買うことが出来るようになりました。
桜の葉の香りと、ほんのりと紅色に染まった餅とその中に包み込まれた小豆餡のハーモニーは絶妙な風味です。描いているうちに、早く食べたいと、いつも思ってしまいます。
○最初に桜の葉の上の方から弱い線で描き、次に餅は強弱をつけながら、最後にお皿を描きます。
○餅の彩色は米粒感をだしたいので、塗り残しを考えながら、トントンと色をおいていきました。
○桜の葉の部分は、金黄土、鶯茶緑、落ち葉茶など、少しずつ重ねて塗り上げました。
●マグカップ
雑貨屋さんを覗くのが好きで、ウィンドショッピングを楽しんでいますが、色と形が気に入り衝動的に買ってしまいました。
○カラフルなぼかし絵柄を表現するのに画仙紙を使用。お洒落な感じを出す為に紫色のダーマートで線描きをしてみました。マグカップの下に安定感を表現するのにクロスハッチングで陰を加えました。
○文字は画仙紙になじむ墨で竹ぐしを使い、「朱分」彫りの雅印を押して完成です。
●布製のねこ
手にしてみると中に粒状のものが入っていて、お手玉の様な感触ですが、布製の民芸調の飾り物です。
○遊び心で茶色のダーマートで強弱をつけながら、線描きをしました。
○水をはじくダーマートの特性を生かして柄の部分に白、緑、赤色を使い、布地のその上を顔彩で上塗りして、模様が手軽に表現出来る面白さを味わいました。
●ふきのとう
私が絵手紙を始めた時、最初に描いたモチーフが「ふきのとう」でしたので、描く度に当時を思い出し、初心に帰ります。
食べて良し、描いて良しの画材に春の息吹を感じながら描きました。
○中心の花の部分から描き始め、濃く強く葉先は淡く、弱くの気持ちで線描きしました。
○白のダーマートを花と葉に少し使用してから、若葉、青草、鮮光黄を塗り、最後に葉先に燕脂を重ね出来上がりです。
●石像
スケッチの場所として近隣のお寺によく出掛けます。四季折々の花、石仏、石像、建物、庭等寸景の対象になるのが沢山あります。
○石像は藍色のダーマートと中目の洋紙で描くと、スムーズに線が引ける様な気がして、私は好んで使っています。
○石の硬さと重量感が出る様に、強い線を多く、陰の部分はハッチングなど入れて、一気に描きます。
○彩色は鶯茶緑や、本藍などで陰影をつけるだけで簡単に仕上げることができます。
おわりに
ダーマートグラフはすぐれもので奥が深いですね。画材や季節に応じていろいろな色を使って新しい発見をしてください。ポストインされたあなたの個性的な絵手紙は、受け取る方との絆をより深くしてくれることでしょう。