サインペンで描く

絵・文 地球・絵手紙ネットグループ
特別講師 合田幸二

サインペンの特徴

 サインペンは文房具屋さんや100円ショップなど、どこででも手に入る筆記用具です。手軽で速く描け、スケッチなどモチーフが何にでも描ける一番手軽な道具です。また、消しゴムなどで消せないので、思い切り良く、はっきり描くことができることも特徴です。
 絵手紙で使用しているのは主に黒色の2・0ミリを中心にピグマペン(水性顔料)やプラチナPRO︱USE(油性染料)などです。これらを使えば、角を使って細い線、面を使って太い線など、ある程度使い分けた線が引けるので、特に細い線(0・5ミリ以下)や特に太い線(3・0ミリ以上)でなければ、一本で十分対応出来ます。鉛筆や毛筆のような濃淡やぼかしは出来ませんが、一定の濃さで滑らかに、きちんとした線を引くことが出来ます。

①構図を決め実物大程度に、中心になるものから描き始めます。
②彩色は、下地に黄色を塗るなど準備する。
③リンゴの表面に「臙脂」や「紅」などを塗る。
④細かい部分をじっくり見て色付けをします。
⑤最後に文章を入れて、雅印を押してください。

 使い方は、モチーフにより線の太さを変えたり、文章も、字の大きさなどにより太さを変えたりもします。サインペンの持ち方も鉛筆持ち、包丁持ちやつまみ持ちなど変えてみると楽しいでしょう。
 用紙はどんなものでも良いですが、洋紙(画用紙)のハガキとの相性が一番良いと思います。あまり先入観にとらわれず、季節やその時の自分の気持ちを込めて描いてみるのが良いと思います。
 皆さんもサインペンで描くことが多いと思いますので、一緒に勉強しましょう。

●牛のぬいぐるみ

 昨年はコロナ禍で皆さん大変でしたね。今年は丑年ですので、牛のようにゆっくりでも絵手紙を楽しみましょう。
 このぬいぐるみは妻が毎年作っている干支のぬいぐるみです。今回の構図は、語りかけるように正面からハガキ一杯に描いてみました。線は呉竹CALLIGRAPHY水性顔料の5・0ミリの角を多用しながら描いてみました。油性染料で太い線を描くと裏に滲みますので注意して下さい。彩色はちりめん布の柄を油性ダーマートで下地を描きました。文章は同じサインペンを使用し今年の気持ちを書きました。

●どら焼き

 最近、和菓子屋が少なくなり、どこにでもある、どら焼きを描いてみました。スポンジの柔らかさなどを表現するのは難しいので、線が表に出ないよう0・5ミリのサインペンを使いました。色付けは陰の部分は濃く、粒あんのテカりを白く残しました。文章も、二つに割ったモチーフに合った文章で同じサインペンで書きました。雅印は下の空間に入れると落ち着きます。

●イチゴ

 今は温室でいつでも出回っていますが、とても美味しい果物、いや野菜ですね。
 線は2・0ミリサインペンの角を使い、スピードを変えながら引いていきます。新鮮なイチゴはヘタが立っており、モチーフ選びが絵の元気さを決定しますので頑張りましょう。今回色付けは水彩色鉛筆を使ってみました。とても鮮やかな色が出ますので、新鮮さを表現出来ます。
 文章、雅印もバランス良く入れましょう。

●蕪

 誰にでも簡単に描けるモチーフですが、いざ描いてみると意外と難しい、こんな時はリズム良く線を元気よく描くことです。色付けも白い部分は塗らないで二度塗り程度です。文章も絵に合った表現が出来れば良いでしょう。5分程度で完成させました。

●スケッチ(合掌造り)

 合掌造りを描きたくて川崎市にある日本民家園に行きました。その時に白川郷と相倉地区の合掌造りがあることを知り、雪の中の本物が見たくて現地へ行ってきました。
 バスツアーなので、描く時間は僅かしかなく、線はゆっくり引くなどとても出来ませんでした。でもスケッチは感動がある短時間で描く方が良いと思います。色付けも簡単に雪の白は用紙の白をそのまま残して下さい。文章は感動が残っているうちに、帰りのバスの中でも良いので書いて下さい。

●ツバキ

 伊豆大島などでは一月下旬から「椿まつり」が開催されます。椿の種類も色々ある中で、日本古来からある「藪椿」が趣があって好きです。
 線はゆっくり勢いよく、色は大胆にパッパッと二度塗り程度に収めます。文章は、一部を筆で書きましたが、同じサインペンで結構です。雅印は全体のバランス、調和を考えはっきり押すようにして下さい。

おわりに

 サインペンは絵手紙で一番使いますが、初心者には描きやすいものの、他の筆記具と比べて強弱や味わいを出すのには難しいと思います。でも、この手軽さには、絵手紙を気楽に描ける魅力がありますので、どんどんサインペンで描いてください。