鉛筆で描く–応用編–

絵・文 地球・絵手紙ネットグループ
特別講師:字田川恭子

はじめに

 夏号では鉛筆描きの基本編ということで4Bの鉛筆を中心に、花、野菜、果物を描きましたが、今回は2H〜8Bまで、鉛筆の硬さ、柔らかさを活かした絵手紙の描き方を学びたいと思います。

①鯵の干物を描きます。構図が決まったら最初に口を描き、続いて目を入れます。
②えらを描いて中心線の背骨を一気に力強く引きます。両目は近い位置にあります。

③胸ヒレや側線の鱗を描き込みます。描き切れない尻尾は右下に追加します。線描が完成しましたので、背骨から彩色していきます。
④新鮮さを出すために目はサインペンで黒く、えらの血合いは実物より赤くしました。全体の彩色が済んだら、文を入れ、雅印で完成です。

鉛筆で描くときの応用

 2B、4B、8Bなどの柔らかい鉛筆は芯が太いですからソフトな仕上がりになります。H、2Hの硬い鉛筆は繊細でキリきりと紙に刻み込まれていくような線が特徴です。それぞれの良い点を活かして絵手紙ライフを更に楽しみたいと思います。
 また、美術館や博物館、文学館巡りなどで模写したい時に「鉛筆描きなら良いですよ」と言われることが多いです。いつも携行していると便利ですね。「写メールも良いけど絵手紙はもっとね」の声、聞こえてきませんか。

コップと花

シンプルなコップとシンプルな花の組み合わせです。ガラスは薄く繊細なので、2Hの鉛筆で描きます。型を左右対象に描くのは難しいですが、多少ゆがんでも一気に描くのが良いです。花は本来4Bを基本としますが、ガラスの薄さに合わせてHBで描きました。

ガラスの器

 江戸切り子のコップは、使った後の手入れが大変なので、棚の奥に隠れています。そのうち断捨離かなと考えています。コップの縁の厚みは、本体の厚みになりますから、薄いガラスのもの、厚みのあるジョッキなど、注意して描くと良いですね。器のカットは手前側は強い線、後ろ側は弱い線で描く事により、奥行きが出ます。

達磨を描く

 中国禅宗の開祖の言い伝えがある達磨。本に依れば日本には北海道から九州まで、それぞれ各県に御当地達磨があります。今日描いたのは仙台の達磨です。サインペン、割箸にも負けない力強い線が8Bでは引けます。顔の輪郭から描いて底の部分を強く描き、全体に安定感を持たせます。文章も絵と同じように太く書いてバランス良くしました。

和菓子

 母親の世代には、お正月に寒天で羊羹を作ったり、餡を練って饅頭を作ったりと、手間暇かけたおやつでに母の味がありました。特に手づくりの柏餅などは、皆さん方も同じ思いがある事でしょう。和菓子は種類が多いので、柔らかさを出しながらさっぱりと仕上げるのが良いと思います。今回の道明寺はもち米の粒々感を出す為に彩色筆で色を置いて行きました。

香水のビン

 若い頃は惜しげもなく購入しましたが、使いもせずに引き出しの奥に眠っていました。ガラスを描くようになって、形が可愛らしいのと色がカラフルなので、モチーフとしては大好きです。小さなビンのため構図としては、三個並べてちょうど良いと思います。底の部分は力強く鉛筆を直角に立てて線を引き、蓋の方は普通に描くと立体感が出ます。

名所を訪ねて

 バラが名所の古河庭園は、一年中花が咲いていて静寂を保つ憩いにぴったりの場です。今日も鉛筆片手に出掛けました。寸景をスケッチする際、鉛筆は細かい所まで描写出来るすぐれ物ですが、時には頑張りすぎる私に描き過ぎに注意‼省略も大切と警告です。今回、古河庭園は建物を中心にして、庭のバラ園は彩色だけに絞りました。中心の建物を描いてから左右に移り窓の高さを合わせるのがポイントです。