割箸の基本

絵手紙・文 地球・絵手紙ネットグループ
特別講師 関口京子

割箸の醍醐味

 今回は私達が使い慣れている割箸を勉強します。割箸は想定外の線が面白く楽しみがあります。割箸は乾燥の具合(新しい木で水気を含んでいるもの)、乾燥が進んでいるものにより墨の吸い込みが変わります。自分流の線を描く面白さ、驚きのために、遠くから取り寄せをしている方も耳にします。使い方は包丁持ちにして、角を使って細い線を、面を使って太い線を描きます。また、折ったりして色々な線をとりまぜて描くと面白いと思います。応用として、つま楊枝、竹串、枯枝等があります。
 墨はやや濃い目を使います。硯でお好みの色まで摺る方、墨汁もふつうの開明等、濃い書用の玄宗等を使う方、お好みです。墨の色、濃さによってハガキ全体のイメージが違ってきます。

①まず、枝葉のところから割箸の角を使い描きます。葉の裏のかえりもよく見て描きましょう。
②枝葉にあわせて大胆にハガキからはみ出すように晩白柚を描きます。
③彩色は、若葉次に青草をぬり、乾いてから葉の上部に緑青をおき深みを出します。
④晩白柚は、ほぼ鮮光黄で筆の腹で丸味が出る様にぬります。次に山吹に少し上朱を入れてかげをつけ、下の部分に若葉で新鮮さを表します。

●玉ネギ

 友人が長野の滞在型市民農園に加入していて、沢山の野菜等を作っています。以前より珍しい画材を頂いて助かっています。それらは極力描いて届ける様にしています。その中の玉ネギ達。箱に入れておいたのをある日見ると、こんな状態になっていました。伸びた葉が押しつけられていて、いじけている様子がみられ何とも愛しかったです。
 皆さん格好な画材として描いておられると思いますが、私も丸味を出すことに気をつけ、角と面を使い描きました。葉の部分は動きを出しましょう。墨は墨液作品用(玄宗)で、特に大きい紙などに描く折には、こんなしっかりした墨がよいでしょう。

●ワイン

 三十八年間主人の両親と同居。ストレス解消で義母にショートステイに行ってもらい、旅に出かけて悪い嫁していた私です。旅先で目についた物を求め、画材として楽しんでいました。そのうちにと仕舞っておいたスペインワインが出て来て、そうだと描いてみました。暑かった旅の想い出と共に。ビンなので濃い墨汁で割箸の角と面を使い、ビンに当たる光の具合を考えて彩色しました。
 ハガキには少々大きすぎる画材なので、大判ハガキ、縦長ハガキ、短冊、切り紙を縦に等々が適している様です。ハガキには少しやかましい画材ですね。

●トマト

 皆さんどなたも何回も描いている画材です。種類もいろいろあり、個のもの、ミニトマトのような連なったもの等々あります。トマトの赤さには心をゆり動かされます。店先にあるものは古くなりヘタがくちゃくちゃになっていることもあります。ヘタの元気さが新鮮である印です。まずヘタから描いてみて、後にトマトの丸味をはみ出すように。画材の通りでなく、ピンとして描くと良いでしょう。ヘタの廻りの黄味、青味も入れましょう。割箸は二つ折りにした物で描きました。大胆さとおもしろさを表現することが出来、どんな種類のトマトでも美味しそうに描けます。

●キロロ

 胡蝶蘭の仲間「キロロ」という珍しい蘭です。日持ちするということで蘭は母の日にプレゼントとしてよく使われる一品だそうです。生徒さんが持って来て、描いてみて下さいと置いていきました。私の好きなつま楊枝で描いてました。
 時として文章の失敗という事がありますよね。そういう時は文章の部分を、絵から一〜二ミリあけて墨汁を塗り、乾いてから文章を白の「マッキー」(ゼブラ)で書きました。それで失敗は消え、改めての文章が描けます。少し亜流ですが……。ハガキ一枚助けました。せっかく描いた絵が蘇り、嬉しさと共に、インパクトのある絵手紙になります。

●あじさい

 教室に置いていったあじさいを家でさしておきました。花が枯れ主茎だけになった折、何と細い根が生えて来ていました。
 あれから数年、一生懸命水やりをして頑張ったところ、見事に花をつけました。姿、色が好みだったので、毎年咲いてくれる花に植物の強さを感じながら、何枚も描きました。少しずつ色や姿が変わっていくことに驚きを感じています。

●ペンケース

 孫からのプレゼントのペン入れ、丁度よい大きさです。無地だったので、アクリル絵具で絵を描くと幾分派手になり、お気に入りになりました。よく生徒さんに、日常どこにでもある物がすべて絵手紙の画材になり、又頂いたものを描いてお礼状を出すのもいいわねと話しています。割箸は主に角を使って細く描きました。文字はつま楊枝で書きました。文章は率直に思いを伝えると喜ばれると思います。

おわりに

 文章は、さし上げる方に寄せたおことば、思い切り自分の思い出など、説明でなく具体的に知らせたいことを書きましょう。
 雅印は絵と文とのバランスを考えて押しましょう。
 割箸の線は描いてみないとわからない、予想できない線におもしろさがあります。あなたは、どんな箸で、どんな墨で描きますか。