私たちの絵手紙の基本を知る
地球・絵手紙ネットグループでは、今まで私たちが作りあげた絵手紙の基本を大切にしてこれからも後世に伝えていきたいと考えています。
特別企画として自宅で一人でも学べる「地球・絵手紙の基本」を二回にわたって特集します。また、今号より「絵手紙教室」でも、より具体例を紹介していきますので、併せて参考にしてください。
筆記具別の描き方 ㈠
絵手紙は誰でも、どこでも描けます。上手下手もなく心を伝えることが大事です。絵手紙は、線に、色に、文章に心が出ると言っております。
筆記用具によって、線が異なり 心の表現も変わります。
線の基本は鉛筆ですが、いろいろな線の特色をもう一度考えてみたいと思います。
描き方の第一歩は
①本物をよく見て、感じて描く。
②写真や絵を見て描かない。
③形がおかしいと思っても、心で描く。(本物そっくりでなくても良いです。)
④線はゆっくり、しっかり描く。
鉛筆を使って
・鉛筆は誰でも使い慣れた筆記用具で描きやすいです。
・最初は4Bが使いやすいです。
モチーフによりH、HB~はかたい線、細い線。3B、5B~はやわらかい線、濃い線と使い分けると良いでしょう。
・持ち方は通常の鉛筆を持つように。用紙は洋紙ハガキ、画用紙ハガキです。
・消しゴムは使わないように。曲がった線も面白く、趣がある。
・彩色は鉛筆の線を消さないように薄く彩色すると良いです。
(鉛筆についてはP4~7「心を伝える絵手紙教室」で詳しく解説しています)
サインペンを使って
・サインペンも細い0・1㎜~太い2・0㎜~3・0㎜等あり、描くものによって、太さを選ぶことが必要です。
・他の用具と違うところは一定の濃さが出ることです。濃淡の変化はないが線がしっかり描けます。
・持ち方は、鉛筆持ち、包丁持ち。
・モチーフは何でも描くことが出来ます。
・用紙は、洋紙、画仙紙にも適します。
・文章も文字の大きさ、太さによりペンの太さを選びましょう。
・サインペンも細い0・1㎜~太い2・0㎜~3・0㎜等あり、描くものによって、太さを選ぶことが必要です。
・他の用具と違うところは一定の濃さが出ることです。濃淡の変化はないが線がしっかり描けます。
・持ち方は、鉛筆持ち、包丁持ち。
・モチーフは何でも描くことが出来ます。
・用紙は、洋紙、画仙紙にも適します。
・文章も文字の大きさ、太さによりペンの太さを選びましょう。
ダーマート・グラフを使って
・紙巻き鉛筆ですので、けずる必要もなく、持ち運びに便利ですが、油性ですので消しゴムは使えません。
・ダーマートの特色は角度、持ち方によって、太い、細いだけでなく、強弱、濃淡が描け、遠く(薄く)、近く(濃く)の使い分けが出来ます。
・ダーマートの特徴を生かすためには、強弱のリズムが大切です。
・モチーフが持つ、質感、明暗、立体感、存在感もダーマート一本で描くことが出来ます。
・風景絵手紙には、遠近感が表現出来ます。
・光の方向をよく観察し陰影をつけます。
・モチーフはどんなものでも適しますが、最初は果物、野菜が良いでしょう。
割箸を使って
・割箸は想定外の線に面白さがあります。
描いてみないとわからない驚きがあります。
・持ち方は包丁持ちが適しています。
・最初はそのままを使い、角度を使うと細い線。面に使うと太い線。 にじみ、かすれが出ます。
・木製の割箸は墨をよく含むので、適しています。
・墨はやや濃いめが良く、墨をたっぷりつけます。
・用紙は画仙はがき、和紙、巻紙が適しています。
※応用として
割箸を折ったり(かすれが出る)、枯枝、ようじ、ダンボールなどを使います。
水彩色鉛筆を使って
・水にとける色鉛筆で、絵の具の要素も兼ねていますが、顔彩や水彩絵の具とは発色も異なり、魅力があります。
・基本の描き方は、線描で、線を羅列する「ハッチング」で描きます。
・細かい物も描け、消しゴムを使用出来ます。
・持ち方は鉛筆持ち、用紙は洋紙が適しています。
・モチーフの下書きの線は、鉛筆、サインペンが適しています。
・ハッチングにはいろいろな描き方があります。
1 一定方向に引く、平行線が基本。
2 線の方向を変えて、クロスハッチング
3 フリーハッチング
4 ラフな曲線のハッチング
5 点描
6 その他水彩色鉛筆をぬらすと濃い色に
・大切なことは、水で全部とかさず、線描を残すことです。
毛筆を使って
毛筆は平安時代より使われてきた古い歴史があり、日本古来から日本文化として継承されています。日本人が手紙を書く時は、毛筆と墨、和紙が使われました。
墨をすり、香りを感じる事も大切な要素です。
最近は、手軽に描ける筆ペンを使用する人が多くなりましたが筆ペンは墨でなくインクです。毛筆とは異なるものです。
・毛筆の特色は力強さ、大らかさ、のびやかさのある線が表現できることです。
・筆は細い筆ではなく、直径8㎜以上、軸が22㎝位の長い筆が基本です。
・墨は青墨を使用し、硯を使います。
・筆の持ち方は、三本の指でつまむように、筆の一番上を軽く持ちます。
・線はまっすぐに筆を立てて、ゆっくり線を書きます。(1秒間に1㎝位)
・墨は一度つけたら、かすれるまで墨をつけずに描きます。
(太いにじみ、かすれなど豊かな線が表われます)
・絵も文章も毛筆で書きます。
・用紙は画仙紙、半紙、折紙、切紙、巻紙、その他和紙を使用します。
・モチーフの線は青墨を少し薄くし、薄い線で描き、文章は濃い墨で書きます。半紙、巻紙の時は文章も多くなります。絵と文章のバランスを考えましょう。
・モチーフは細かい物より大きい物の方が描きやすい(省略することも大切)です。
・彩色は紙に吸水性がありますので手早く塗りましょう。
※筆の持ち方になれるまでは、少し時間がかかると思いますが、しっかり基本をマスターしましょう。
風景絵手紙(寸景)を描く
野菜、果物、花など室内で描くだけでなく、外に出て四季折々の自然を描く事も楽しいものです。絵手紙のスケッチは通常の風景画と違って、全景ではなく自分が感じた一部だけを描きます。これが木下誠先生がお作りになった「寸景」という言葉です。
・寸景のポイントは一番感動したところを、時間をかけずに描きます。(まわりの風景は省略しても良い)
・木一本でも立派な寸景です。
・それに建物を入れたり、人物を入れたり、雲を描いたり、花を入れたりして広がりを作ります。
・スケッチで大切なのは、自分がその場所にいるという臨場感です。
・筆記用具は鉛筆、サインペン、ダーマート。
・用紙は洋紙ハガキが適しています。
・添える文章は、スケッチの場所、その時に感じた事、感想など短い文章を書きます。
・絵に字がかかると、絵をこわすこともあるので注意します。
・ハガキの四辺の余白が残るように描くと余裕ができます。
・彩色は遠景は薄く、近景は濃く、また光の方向が大切です。
・寸景は雅印でなくても、サインでも良いでしょう。
絵手紙を描く時の注意点
① 用紙・用具――モチーフによって考えます。
② 線――ゆっくり、しっかり、走り書きにならないように心をこめます。
③ 彩色――薄い色から濃い色を重ねていきます。
ぬり残しも必要、筆洗いはこまめにします。
画仙紙、和紙の時は吸水性があるので、手早く彩色します。
④ 彩色筆――通常は彩色筆を使います。
水筆はスケッチ等に使う。通常は使いません。
⑤ 文字・文章――文字は丁寧に心をこめ、誰でも読める字で書きます。
文章は、たて書きが好ましいです。
飛び飛び文章は好みません。
絵手紙は手紙であること、手紙は人と人との心を結ぶコミニュケーションです。相手を想う文章を書きましょう。
⑥ 雅印――ハガキ用は0・8〜1㎝内が良いでしょう。
半紙、巻紙は1・5㎝以上が良いでしょう。
絵が伸びて行く方向には押さないようにしましょう。